消波工の波力低減特性に関するブロックスケールとレイノルズ数の効果

摘要

著者らは既報のように，浅海域における透過性構造物による波の変形が、①波と空隙の大きさの相対比（波高·空隙代表径比），②粒径レイノルズ数の2つの無次元量に大きく支配されることを明らかにした．そしてこれらを用いて線形抵抗係数を算出し，透過率の算定が可能であることを示した．このような波の変形に係わる2つの重要な無次元量は当然の結果として消波工などの後方に設けられた直立壁の作用波圧にも著しい影響をもたらす．これらの消波構造体による波力の低減効果については，被覆工幅とブロヅク寸法の比に着目した稲垣らの研究があるものの，合田式の準用や森平式のように構造特性にかかわらず総体的に低減率を乗じてその評価を行なう手法が一般に用いられている．しかし消波工に用いられるブロックの大きさや消波堤体の位置（遊水部の有無など）が後方の直立壁の作用波圧におよぼす影響など，構造物の特性と波力低減の関係については不明確な点も多い．