CD1抗原とNKT細胞

摘要

CD1抗原は最初はヒト胸腺特異抗原として同定されたリンパ球分化抗原である。 β2ミクログロブリン（β2m）を結合する分子量約4万5千の膜蛋白でMHC（主要組織適合系）クラスI分子と類似したヘテロダイマーを形成することから非古典的クラスIあるいはクラスI bに分類され，免疫系でなんらかの役割を果たしているとの推定はなされていたが，遺伝子がクローニングされてからも長い間その機能は不明であった。 最近，CD1抗原が脂肪をT細胞に提示すること，NKT細胞の発達に必須なリガンドであることが相次いで示された。 さらに，結晶構造が解析され，CD1がクラスI，クラスII分子に次ぐ新しい抗原提示分子ファミリーを形成していることが明らかにされた。 提示する抗原分子や反応する細胞の特殊性から未だ不明の免疫学的事象や病態をめぐる諸問題を解決する手がかりとなることが期待されている。 本稿ではCD1を中心にNKT細胞との相互作用について最近の知見を紹介したい。