兵庫県におけるィネ縞葉枯病の発生状況と防除対策

摘要

兵庫県ではかってィネ縞葉枯病の流行が1960年代と 1980年代にあり，甚大な被害を受けた。1960年代は苗 代から本田期までの防除徹底や作付体系の統一管理を行 レヽ1980年代は本田における防除徹底により沈静化し た。しかし，近年再び発生は増加傾向にある。イネ縞葉枯病はヒメトビゥン力により媒介されるウイ ルス病である。水田へ飛来するヒメトビゥンカ第一世代 にとつて，5-6月ごろの小麦圃場が繁殖に好適な場所 になるため，ヒメトビゥン力の発生とイネ縞葉枯病の発 病は小麦作付面積との関係が深いとされる（岸本， 1979)。また，小麦圃場で発生したヒメトビゥンカ成虫 の水田への移動は，小麦の収穫が遅いほど助長されると 考えられている（岸本，1979;伊藤、岡田，1985)。近 年の兵庫県におけるィネ縞葉枯病多発の背景には，小麦 作付面積の増加とともに，新たな栽培面積の半分以上に 収穫期の遅いパン用小麦や醤油用小麦が栽培されている ことが考えられる。