高知県の露地シヨウガ産地のための 脱臭化メチル栽培マニュアルの開発

摘要

高知県におけるシヨウガの栽培は，栽培面積458ha， 生産量21，000t (平成23年度）で，国内最大の産地と なっている。主に中国産の輸入増加のため，栽培面積は 20年前からほぼ半減しているものの，最近では国内産 ショウガの需要の高まりによりやや増加傾向に転じてい る。一部ではハウス栽培も行われているが，水田転換畑 での露地栽培が多く，高知の園芸を支える重要な露地野 菜である。露地シヨウガは根茎腐敗病や雑草等の被害が大きいこ とから，高知県ではこれらの防除のために以前から臭化 メチルが使用されてきた。そのため，2005年の臭化メ チル全廃が決定されてから，臭化メチル代替技術の開発 に積極的に取り組んできたものの，2005年までには産 地に受け入れられる有効な代替技術の開発には至らず， 不可欠用途としての使用を申請してきた。その後， 2013年の不可欠用途臭化メチル全廃が決定されたこと から，臭化メチルから完全に脱却した代替技術の開発が 必要となり，2008年に採択された農林水産省委託研究 「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業.臭 化メチル剤から完全に脱却した産地適合型栽培マ二ユア ルの開発」において，脱臭化メチル栽培マニュアルの開 発に取り組んできた（竹内，2008)。その結果，不可欠 用途臭化メチルの全廃を前に，代替防除技術を用いて露 地ショウガを安定的に栽培できる技術を開発することが できたと考えている。今回，高知県で露地ショウガを対 象に開発した脱臭化メチル栽培マニュアルについて，そ の概要を紹介する。