リンゴコシンクイGrapholita inopinata HEINRICH雌成虫の生産する性フェロモンの同定

摘要

リンゴコシンクイGrapholita inopinata HEINRICH（チョウ目：ハマキガ科）については、日本では1952年に福島県においてマルバカイドウMalus prunifolia var. ringoでの寄生が確認され、その後リンゴへの被害も若干確認された（駒井，1976；奥，2003）が、以後、被害拡大の兆候はまったくなく（奥，2003）、現在まで約50年間リンゴでの被害は報告されていない。しかしながら、当該生果実を本種の未発生国に輸出しようとするとき、輸入禁止等の植物検疫措置を講じられ、輸出できない場合がある。このため、本種の野生寄主植物であるズミMalus toringoの自生地等を対象に、2002年から発生状況に関する野外調査を行ってきた。