糖鎖と診断薬

摘要

糖鎖構造は，タンパク質の一次構造が遺伝子により一義的に決定されるのと異なり，様々な糖転移酵素や分解酵素の時間、間的な厳密な制御のもとに構築され，この糖鎖によるポストモディフィケーションと疾患との関係が注目されている。 近年，糖鎖構造解析の研究により，RA患者血清中に存在するIgG糖鎖のガラクトースが顕著に減少していることが明らかになった。 この糖鎖異常をもつIgGはRAの病因との関連において注目され，自己抗体の1つであるリウマトイド因子（RF）の産生や免疫複合体形成に関与している可能性が示唆されている。 我々は，ガラクトース欠損IgGがRCA120と全く反応しないことやRF自身がすべて糖蛋白質であることに注目し，RFを含む自己抗体の糖鎖をレクチンで定量する新たな測定法（レクチン酵素免疫測定法）を考案した。 水落らは，この測定法を用いて，早期の段階からRAを疾患特異的に検出できることを報告している。我々は，この測定原理に基づいて，日常の臨床検査に利用可能な杭ガラクトース欠損IgG抗体測定キット（エイテストCA、RF：エーザイ）を開発した。