海産哺乳類に関する研究の国際動向

摘要

我が国で海産哺乳類に関する研究を行っている機関は遠洋永産研究所，国立科学博物館，北大，東大，日大，三重大及び長崎大等であるが，細織的に研究を実施している機関は遠洋水産研究所以外にはない。 非常に限られた世界と言ってよい。 しかし，海産哺乳類に関する一般の関心は高く，最近名古屋港に迷い込んだシヤチの放出作業には2000人近い観衆が押し寄せた程である。 外国でも海産哺乳類に対して人々の関心は高く，昨年（1999年）ハワイで開催された国際会議には，海産晴乳類に関心を持つ研究者や学生が世界中から参加して最新の研究成果を発表した。 その会議で配られたプログラムと講演要旨集に，それち前の2回の同会議の資料を加えて，海産哺乳類に関する研究の国際的な動向について分析してみた。本稿に出てくる海産晴乳類を大別すると，鯨類（いるか，シヤチ，大型のヒゲクジラ類，ハクジラ類），鰭脚類（おっとせい，あざらし類），海牛類（ジュゴン，マナティ）等であり，これらの類別は分類上の目に相当する。