愛媛県に侵入したカラドジヨウ集団内に見られた起源の異なる2つの遺伝子系統

摘要

中国大陸から台湾島，朝鮮半島にかけて分布するカフ卜ンョソParamisgurnus dabryanus (ドジヨウ科シマドジヨウ亜科）は，我が国におい て在来rンョゥMisgurnus anguillicaudatusこの 競合や交雑などが懸念され，要注意外来生物に指 定されている.本種はドジヨウ種苗の輸入などに混入して日本列島に侵入しており，少なくとも i960年代にはこれに類する個体の記録がある(Oliva and Hensel, 1961).また，現在では全国のおよそ1/3にあたる都道府県の自然水域で記録さ れ（農林水産省農村振興局土地改良課、 社団法人農村環境整備センタ一，2005)，一部はすでに定 着している（金尾、 上野，2005;平嶋，2006;加 納ほか，2007).愛媛県では，2004年に初めて， 新居浜市東川水系で1個体の採集報告があつたが (高橋ほか，2006)，その後著者らが県下全域でド ジョゥの集団遺伝構造を調査した折に（清水-高 木，2010;高木ほか，2010)，久万高原町の圃場 に多数生息することが確認された.