いわゆる大深度地下法を踏まえた公共事業における地下使用，損失補償等の運用上の留意点等について（私見）＜下＞（大深度地下法の使用認可申請等に当たつての留意点等（その2），その他について）

摘要

大深度地下法では，第17条で使用の認可には条件を付することができるとしている。 これは，従来の土地収用法の事業認定とは異なる（事業認定では条件を付することができる規定はなく，実務上もそのような運用はされても痛い）。 国土交通省の解説では，安全の確保や環境の保全について特段の配慮を要する場合等に条件を付することが考えられるとし，この条件に反した場合は，使用の認可の取消し（第29条）があり得るとしている。 事業者からすると，認可を受けても条件を付されることでやや不安定な使用権原取得となる可能性がある。もちろん，第17条第2項でその条件は必要最小限のものでなければならないから，認可権者においてもその運用は慎重であろう（したがって，単なる安全確保や環境保全の努力を求める等の包括的な条件付与は，条件違反を理由に無限定に認可の取消しを可能とするおそれがあるので，望ましい運用ではないと考える）が，事業者としては，申請の前に，どのような条件を付される可能性があるかについても十分検討するとともに，必要に応じて，事前に認可権者に相談する（過去にどのような場合にどのような条件が付与されているのかぐらいは聞けるのではなかろうか）等の対応が必要であろう。