インドにおける 高等学校教育の'遺伝の科学'-段階的遺伝学習プログラム

摘要

インドの遺伝教育は，8年間の義務教育を経て中等学校10年生（理科）-上級中等学校12年生（生物）までの3 年間をかけて，遺伝の概念から細胞学，遺伝学への段階的な学習過程を迪る。その特徴は，メンデル遺伝を基本 とし，変異ゃヒ卜の遣伝から最近の分子細胞遺伝学分野までが広く扱われている点にある。11年生からの「生物」 の履修は試験選抜で極少数になるが，インド国民の遣伝概念は「理科」で修得できている。医療や福祉の発展に より，遺伝子が関連する疾病や障がいについて医師，医療従事者から一般市民も正しく理解する必要があり，ヒ 卜の遺伝学を学ぶことはこれまで以上に重要である。インドの教育課程では生物の科目で遺伝分野を学んだ後， 高度なバイオテクノロジーについて学ぶ単元が設けられている。日本の遺伝教育も，インドに学ぶところが多い。