ネアンデルタール人の核DNA塩基配列を読む

摘要

ネアンデルタール1号人骨の発見は1856年であり，2006年は150年の節目であった。 その節目の年である昨年11月にネアンデルタール人（図1）の化石イDNAに関するニュースが飛び込んできた。 ネアンデルタール人骨からとうとう核DNAの塩基配列が解読されたというのである。 2つの研究チームがNature誌Science誌に同時に発表した研究は，分析アプローチに違いがあるもののその結論はほぼ一致しており，ネアンデルタール人と現生人類との系統関係について，「ネアンデルタール人と現生人類の系統の分岐は古く，ネアンデルタール人が現生人類の遺伝子組成に影響を与えた可能性は低い」というものである1）2）。