好熟菌と耐熱タンパク質

摘要

陸上や海底の熱水地帯など，高温の場所に好熟菌は生育している．こういった環境では地下から硫黄や水素などの還元型物質が供給され，その化学エネルギーを利用することによって好熟菌は生育する．また，従属栄養の好熟菌も存在する．好熟菌の中でも，好熟古細菌にはとりわけ高温で生育できる種類がある．最高の生育温度をもつのはピロロブス，フマリと呼ばれる古細菌で，1130Cまで生育できる．好熱菌内部の物質はすべて耐熱性を獲得している．たとえば，遺伝子の本体DNAは，細菌の種類によって異なる幾つかの方法で耐熱化している．タンパク質も，その表面に電荷をもったアミノ酸を増やしたり，内部の疎水結合を強くすることによって，タンパク質そのものが耐熱化している．また，好熟菌の研究から，全生物の共通の祖先が超好熟菌であったと考えられるようになってきている．