疾病管理のための防除技術と考え方: 第4回　アユの魚病診断について（後編）

摘要

第3回では、魚病診断の流れについて紹介しましたが、魚病診断は養殖業者さんと検査機閑が一緒になって結果を導き出す共同作業です。そのため、検査機関が行う検査内容について知ることが非常に重要になります。検査機関が実施している検査にはいろいろありますが、今回は魚病診断で主に行われている検査として細菌分離、のせガラス凝集反応試験、薬剤感受性試験、PCR検査、ウイルス分離の方法などについて紹介します。細菌分離は細菌の増殖が疑われる病患部を検査部位とします。まず、検査部位表面をアルコール綿などで軽く拭いて、表面に付着している雑菌の消毒を行います。作業終了後は、病魚の飼育水温に近い温度設定のインキュベーターなどに速やかに収容し、培養します（写真3、4）。一連の作業において、病原細菌以外の雑菌が培地に混入しないように注意が必要です。雑菌の混入を防ぐポイントは主に2つあります。1つ目は、空気中を浮遊しているほこりや作業者の手、衣服に付着している雑菌の混入を防ぐことです。そのために、ガスバーナーで空気の対流を作り（写真5）、作業前に腕まくりをして、手、腕をよく消毒します。2つ目は、検体の腸内細菌や体表面の雑菌の混入を防ぐことです。そのために、解剖で腸管などを傷付けないことや検査部位周辺の臓器を取り除き、白金耳などが検査部位以外の場所に触れないようにすることが重要です。