豚からヒトへ人畜共通感染症（18）共生と競争の生物界（13）　トキソプラズマ

摘要

生物が次世代を残す現象は実にさまざまであるが、増殖の方法としては、細菌のように三分裂によって増える無性生殖と、高等生物における雌雄の配偶子が融合して新たな遺伝子組成を生み出す有性生殖とに大別される。 　 ところが、学生時代にトキソプラズマなどの原虫や真菌　 （力ビ）の生活史を学んだ際、両方をやってのける生物種がいることを知って驚いたものである。 高等生物でも、成長を細胞レベルでみれば二分裂であり、繁殖臓器でのみ減数分裂が行われて配偶子ができることからすると、個体の複製過程で無性、月性の生殖過程を併せ持つ生物種は両者の中間形として進化してきたのだろう。