オース卜ラリア家畜衛生研究所 -世界最先端の感染性微生物封じ込め施設-

摘要

筆者は2008年10月から2009年9月までの1年間、独 立行政法人農業'食品産業技術総合研究機構（農研 機構）の長期在外研究員制度により、オーストラリア連 邦政府の科学技術産業研究機関であるCommonwealth Scientific and Industrial Research Organization (CSIRO) のオーストラリァ家畜衛生研究所（Australian Animal Health Laboratory ； AAHL)において長期在外研究を行 つた。さらに2010年2月からはCSIROのセカンドメン ト特別研究員としてAAHLに勤務している。AAHLの ノ《ィォセーフティレベル（BSL) 3および4の研究施設は 牛や馬を使った動物実験も含めすベての強毒病原体を 用いた実験を行うことが可能で、世界最先端の封じ込 め施設として知られている。本稿ではAAHLについて 感染性微生物封じ込めの観点から簡単に紹介する。AAHL (写真1、2)はオーストラリアの国立研究施設 として1985年から稼働している。AAHLの責務は、主 にオーストラリア国内には存在しない家畜重要感染症の サーベイランスと診断、感染症制御のための研究を柱 としている。そしてその活動には技術指導や相談、啓 蒙活動、重要感染症発生時の対応も含まれる。AAHL は国際獣疫事務局（OIE)の新與感染症に関するコラ ボレーティングセンターとしてだけでなく、世界保健機構 (WHO)の人獣共通感染症に関するリファレンスラボラ トリーとしても認定されている。