東南アジアにおける高病原性鳥インフルエンザウイルスの分子疫学

摘要

2003年、年末にべトナムで始まったH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルス（以下：HPAIV）の家禽における大流行は、翌年にはタイでの発生が確認され、その後東南アジア各地で高病原性鳥インフルエンザ（以下：HPAI）の発生を引き起こすにとどまらず、ヨーロッパやアフリカにまで拡大した。発生後すでに5年以上を経過しているが、2009年もバングラデシュ、ラオス、ベトナム、モンゴルなど10カ国で家禽または野鳥でのH5Nl亜型ウイルスによるHPAIの発生が報告されている。また、家禽でのHPAIの発生の拡大に伴って、各地で人への感染も多発し2009年9月の時点で440名の感染確定症例（内、262名死亡）が報告されている。