豚品種改良の動向と研究成果への期待(シンポジウム「ゲノム情報を活用した豚品種改良の最前線Jの概要）

摘要

去る平成28年10月6日、主婦会館プラザェ フにて、公開シンポジウム「ゲノム情報を活用し た豚品種改良の最前線-国際競争力の向上 を目指して」が開催された（主催：農林水産 省農林水産技術会議事務局/国立研究開発 法人農業、食品産業技術総合研究機構（農 研機構）/公益社団法人農林水産、食品産 業技術振興協会（JATAFFK後援：公益 社団法人畜産技術協会/一般社団法人日本 養豚協会/日本中央競馬会）。昨今の飼料価 格の高騰等に対応した国内の畜産経営の健 全化、安定化に向けて、また今後の畜産物の 国際取引開放の拡大を見越した国産畜産物 の競争力強化のために、豚をはじめとする家 畜の改良をより加速化することが望まれている。 一方、近年の豚等のゲノム解読の完了により、 家畜の繁殖能力ゃ抗病性、あるいは食肉等の 生産物の品質と関連するゲノム領域を明らかに する研究が急速に進展している。このような現 状に鑑み、本シンポジウムでは、農林水産省 委託プロジェクト「家畜の革新的育種、繁殖-疾病予防技術の開発」の内の「DNAマーカ一 育種の高度化のための技術開発」、および「日 本中央競馬会畜産振興事業、ゲノム情報活 用育種改良推進事業（豚改良へのゲノム情報の活用高度化事業）」により、農研機構およびJATAFFが中心となって行われた、ゲノム情 報を活用した豚の品種改良に関わる研究の現 状について紹介するとともに、国際競争力の強 化の観点からの今後の豚品種改良の方向性と 豚ゲノム研究の可能性についての議論が行わ れた。シンポジウムでは、前半のセッションでは 繁殖性等の生産性、抗病性および肉質につい て品種改良のためのDNAマーカーの開発状 況の紹介が行われ、後半では養豚現場の現 状と種豚改良についての考えについて、生産 団体、大規模民間企業や、自治体を中心とし た地域ブランド創成の取り組みといった観点か らご紹介いただいた。さらに講演者全員でゲノ ム情報を用いた品種改良の課題について討論 を行った。本稿では講演内容の概要について 紹介したい。