セメント製造時の原燃料利用に向けた 豚翼の堆肥化処理とその利用

摘要

政府の新たなバイオマス、二ツボン総合戦 略によると、日本国内で発生するバイオマスの賦存量は、家畜糞尿が8，900万t/年(全体 の43%)であり、下水汚泥の7，500万t/年(同 35%)を超える最大の発生量と推計されてい る。家畜糞尿は、そのままでは水分が高く汚 物感が残っているため、日本では堆肥化処理 後に肥料として利用するケースが一般的であ る。しかし、畜産が集中する地域では、堆肥 が供給過剰となる場面が見られ、肥料用途の ほかにも新たな利用方法が検討されている。他方、日本における年間のセメント生産量は、 5，600万t/年とこちらも膨大であり、その製造 工程では、製品の1/10に相当する約560万tの 石炭が原燃料（燃焼後の灰もセメントの原料と されることから、原燃料と呼は、れる)としてせ、 要とされる。最近では、低炭素社会への業界 の取り組みとして、300万t近くの廃プラスチッ クゃ再生油、あるいは木屑や廃白土などの廃 棄物、副産物が代替燃料や原燃料として利用 されている。しかし、せっかくの取り組みにも かかわらず、廃棄物、副産物の需給バランスが 崩れて代替品の品薄状態が続いており、新た な原燃料の確保とその多様化力《急務となって いる。