黒毛和種肥育時の血中ビタミンAの低濃度期間と産肉性の関係

摘要

わが国の牛肉の評価は脂肪交雑が重視されており、脂肪交雑が良好な牛肉は高価格で取り引きされている。こうしたなかで、これまで飼料中のどタミンAを低減すると脂肪交雑が向上するという報告がなされており、生産現場においても飼料巾のどタミンAをコントロールする肥育手法が広く用いられている。しかしながら、過度のどタミンAコントロールによる増体の低下や欠乏症の発生も問題になっている。 血中ビタミンAの最少必要量は、個体差もあるが30IU／dlを上回る量と報告されている。これを下回ると視力低下や食欲不振などからの増体低下などの欠乏症状、ひいては枝肉での筋肉水腫（ズル）が引き起こされ、生産者は大きな経済的ダメージを受ける。 また、安全で安心できる食品を望んでいる消費者は、栄養素が極端に欠乏したウシからの肉を受け入れるとは考えられない。 近年、ビタミンAコントロールについてのマニュアルがいくつか作成されており、欠乏症の発生を防ぐために血中ビタミンA濃度の極端な低減は避けたほうが良いとされている。