畜産分野に対する資金支援において 金融機関が農家、支援組織に求めるもの一従来の調達方法にこだわらない新たな資金調達手法の検討を一

摘要

ABLとは、金融機関が借主の保有する売 掛債権や在庫等の事業収益資産を揺呆として 取得し、担保対象資産等を定期的—にモニタリ ングしながらフアイナンスを行う貸出手法で ある。継続的なモ三タリングの実施により担 保対象資産の価値や借主の事業実態について 深度ある理解が可能となるため、借主の資金 調達の円滑化に十分に効果が認められる貸出 手法といえる。特に、保有する不動産の担保 価値が金融機関から認められにくい農業分野 においては、その効果は大きいと考えられ、 農業分野（特に畜産分野）に対するABLの 取組事例は多数にのぼる。今後も、ABLは畜産分野における資金調 達の円滑化に一層の活用余地があると思われ る力、その活用に当たっては畜産分野特有の 課題が存在していると考えている。そこで畜産分野においてABLを活用して貸 出を行うに際し存在していると考えられる課題 の抽出を通し、金融機関が畜産分野に対する 資金支援を行うにおいて農家（借主）やその支 援組織に対して求めることについて考えたい。 本稿では、特に畜産分野において資金負担が 大きい在庫に焦点を当てて考えることとする。