植物種数（小面積当たり）が世界一の中国 青海-チべット高原草地の植生を調べる一暖季は休牧，寒季にはャクと綿羊を放牧一

摘要

青海省海北地区に所在する中国科学院西北高原 生物研究所海北高寒草旬生態定位站近くの草地(標高3， 200 m)に，面積が0. 01m2の方形枠80-100個を設け，2002, 2003年8月に植生調査を行つ た。0.01m2に出現した植物種数（種の豊富さ）の 平均は15. 5-19. 7種で，エストニアなどで過去に 得られた世界最高といわれた種数よりも高く，日本 国内のいくつかの調査結果より極めて高かった。ま た，種数の空間変動（空間的不均一性）もこれまで の日本で行われた調査結果より高い値を示した。種 数と空間的不均一性には正の関係があるものと考 えられる。このような結果は，青海省海北地区にお ける放牧が寒季だけ行われていることや，植物群落 の垂直構造が2層に分かれていて群落による光利用 効率が高いことなどによるものと考えられた。