中華人民共和国山西省における国際協力一生態環境回復と生計向上の両立を目指した技術協力プロジヱクト—

摘要

中国はめざましい経済成長を続け，日本を抜いて，世界第2位の国内総生産（GDP)を達成した。日本 では，中国のような経済大国にもう技術協力などの 政府開発援助(ODA)を実施する必要が無いとの議論 もわき起こっている。そうした厳しい国内世論があり ながら，中国が内包する生態環境保全対策，沿岸部 と内陸農村部の経済格差の是正等の課題解決を 図ろうとする中国政府からの強い要請を受け，日本 国政府は，（独）国際協力機構（JICA)の技術協力-プロジ;X：クトとして，「山西省雁門関地区生態環境 回復及び貧困緩和プロジェクト」をスタートさせた。 プロジェクト実施に当たっては，国際農林水産業研 究センター(JIRCAS)が，専門家派遣等の業務をJICA から一括受託して行うこととなり，日本側専門家6名 が,2007年3月から4年間にわたり，中国側力ゥン ターパート(C/P)と一緒になつて,生態環境回復と 生計向上を両立させる難しいテーマに取り組んだ。 本プロジェクトにつレ、ては，「畜産の研究」第64卷第1号の「中華人民共和国における国際協力」の中で JIRCASの上原有恒専門家（草地管理/市場調査担当） が概要を紹介している。本稿では，プロジェクト実施 の終了を迎え，具体的な成果，畜産振興分野の取り 組みなどについて紹介したい。