日本の養慶一全日本養鹿協会の活動から9．魔の生産技術の研究に向けて－調査き研究（5）ニホンジカ肉の栄養成分とその利用性

摘要

現在，全国各地においてニホンジカ，カモシカおよびイノシシなどによる食害が広がっている。わが国では，古くは村の共同地として里山（平地と山地の境界にある混牧林）がよく利用されていたが，いつしか人手が入らなくなり荒れ果ててしまい，その復活策として玉手英夫東北大学名誉教授（故人）がニホンジカの飼育を考え出された1）。 その後，多くの人々が開発によって人間に追われてしまったシカの保護や人間とシカとの共存の道を目指している。 一時期はシカの駆除を兼ねて養鹿を開始し，シカ肉や鹿茸の利用促進を考える自治体が日本全国に広がったが，いつしか下火になってしまった。そのような中で近年，北海道ではあまりの食害のひどさに北海道庁が対策に乗りだし，十勝地方を中心として，フェンスを大規模に張りめぐらし，野生エゾシカを囲い込むと同時に，食肉として流通できる取り扱いに関するガイドライン2～3）を設け，適切な駆除を行ない始めた。 さらに，得られたシカ肉の処理はこれまで多かった大和煮の缶詰だけでなく，レストランにおけるステーキなどの食材として提供するようになった。