飼料学（23）－Ⅴ．産業動物－ Ⅱ家禽（3）

摘要

アヒルはユーラシア大陸に生息する渡り鳥のマガモを飼い慣らしたものである。 家禽としてのアヒルの最も古い資料は，紀元前400～200年頃に現在の中国で記述されている。 しかし，もっと古い時代のものと考えられるアヒルを模した陶器が発掘されていることから，中国においてカモを家禽化したのは少なくとも3000年も前のことと考えられる。 他の地域では，中世まではカモの家禽化は行われていなかったようである。 現在，世界でのアヒルの飼育羽数は6億羽にのぼるとされ，その約60％が中国，25％が東南アジアとアジアを中心に飼育されている。 日本では平安時代に飼育された形跡があり，近畿地方では豊臣秀吉がアヒルの水田故飼を奨励したとされている。 明治時代になってアメリカから北京種が導入され，本格的な飼育が開始された。 第2次世界大戦後，大阪府を中心としてアヒル産業が大きく発達した。 現在も，岩手，秋田，茨城，埼玉　京都，大阪などを中心に全国で約28万羽（アイガモを含む）飼育されている。