地球温暖化と草地生産

摘要

地球の温暖化に伴い，わが国においても牧草等の飼料作物の生育適地が変化し，それに伴い地域区分も変更しなければならない事態が予測されるため，早急な検討が必要である。 適切な草種選定をはかるためには，温暖化により変化する各飼料作物の生育適地を的確に予測する必要がある。 これまで気温と二酸化炭素（CO_2）濃度の上昇が植物の光合成速度に及ぼす影響については，C_3植物では高温で生育障害が発生するものの，CO_2濃度の上昇は生産力を増大させる等大きな影響があるとされ，多くの研究がなされてきた。 また，C4植物では一般的には大きな影響はないとされ，詳細な研究は一部の車種に限られている。 近年イネ科野草についてCO_2濃度の上昇に対する影響がまとめられたが，温度との複合作用については資料が少なく，さらに草地の生産量，栽培可能地帯区分や植生の変化に関しては，これまでほとんど見あたらなかった。 いずれにしても，飼料作物に対する影響評価の研究事例は少ないのが現状である。