動物用抗菌剤の基礎知識と適正使用（13）--薬剤耐性の伝達する仕組み

摘要

薬剤耐性の生化学的な仕組みについては，すでにシリーズ（9）で説明しました。 そこで，今回は遺伝学的に薬剤耐性を解説したいと思います。 ある抗菌剤に感受性であった細菌が，抗菌剤を汎用しているうちに突如薬剤耐性菌として出現します。 このように感受性であった細菌の性質が薬剤耐性に変化するのは，他の性状と同様に遺伝子の変化によることにほかなりません。新しい耐性遺伝子の出現には，すでにある耐性遺伝子をほかの細菌から貰い受ける場合と，自分自身の遺伝子を変異させて耐性化する場合があることを前回紹介しました。 とくに，耐性遺伝子が細菌から細菌へ菌種を越えて伝達することは，薬剤耐性菌の蔓延において非常に重要な意味を持っています。 ここでは細菌が耐性遺伝子を伝達する仕組みについて説明しましょう。