苦悩する営農の中での畑地かんがい施設の維持管理

摘要

本地域は大分県の中央部から北西部にかけて位置し、安心院盆地を中心としてこの盆地に流れ込む駅館川の支流である佐田川、深見川、津房川の流域に広がった東西12km、南西18.5km、総面積147.17km~2の中間農業地域である。 平成17年3月31日に宇佐市、安心院町、院内町が合併して、人口63.825人、世帯数24，782戸、面積439，09km2の新宇佐市となった。 北へ流れる3河川に沿って農地と集落が点在し、河川の合流点で250ha余の盆地を形成し、旧町の中心として発展してきた。 また、本地域は自然が織りなす豊かな緑、豊富な清流、肥沃な農地に恵まれており、これらは農村である本地域にとって貴重な資源、財産となっている。 安心院町ではこのような恵まれた条件を生活かし、平成9年4月にグリーンツーリズムの取り組みを宣言した。 グリーンツーリズム（GT）とは「緑豊かな農村地域においてその自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」のことで、わかりやすく言えば、「都市住民が農村で過ごす新しい旅のスタイル」である。 地域にある資源を最大限活用し、心のふれあい等人的交流面を重視し、農村の自然や地域社会を壊さずに育てるものでなければならない。農村を訪れる人が農村の生活や文化を味わい、農業や農村に対する理解を深めるとともに自然との関わりを自覚し、人間性を養い育てるという効果が大いに期待できる。特に多感な青少年期の情操教育と創造性の育成に役立つことが実績として現れており体験型学習や修学旅行に活用するなど有効な教育手段として脚光を浴びている。全国で唯一、自治体名に『心』の付く安心院町であったが、市町合併により宇佐市安心院町となり、残念ながら自治体名から消えてしまうことになった。だからこそ、農村「安心院」が地域として消えてしまわないように、強い信念をもって、グリーンツーリズムに取り組んでいる。