比例式モデルに基づく新しいSN比の提案とその応用

摘要

タグチメソッドは品質工学とも呼ばれ，多くの企業では積極的にその導入がはかられていると共に,ニれに関する成書も数多く出版されている（例えば，田口を参照されたい）。また，近年タグチメソッドにおける統計的な考察がNagata et al．および宮川によってなされている。 複数の製品の品質や工程の機能性を比較する際，信号因子と特性量の間に例えばゼロ点比例式（加法モデル）を想定し,回帰係数の2乗と誤差分散の比として表されるSN比は同一の単位を有するSN此間でなければ大小を論ずることはできない。 そこで，本稿では特性量および信号因子の値が正の実数である場合のゼロ点比例式に関する考察に限定し，単位に依存しない母SN比を提案するとともにその推定量の性質を考察する．このゼロ点比例式とは，入力である信号因子の値ガがゼロならば機能の特性量である出力ダがゼロであり，y＝βMを理想機能とするモデルである（詳しくは，田口‥小西，宮川第4章を参照されたい）。 ここで，信号因子の値Mおよび特性量yは正の実数である。 しかし，実際には様々な阻害要因によって正値の領域にぼらつきが生じるため，乗法モデル。