石灰スラッジの塩化水素ガス吸収能に及ぼす焼成温度と共存成分の影響

摘要

石灰石（CaCO3）をはじめとするカルシウム資源は各種工業，環境保全など幅広い分野で用いられており，とくに生石灰（CaO）および消石灰（Ca（OH）2）は都市ごみ焼却炉排ガス中の塩化水素（HCl），SO2などの酸性ガス吸収剤として利用されている．一般に，生石灰および消石灰ほ石灰石を焼成，および消化して製造されるが，通常，石灰石には酸化マグネシウム（MgO），二酸化ケイ素（SiO2），酸化アルミニウム（Al_2O_3），酸化鉄（Fe_2O_3）などの金属酸化物が不純物として微量含まれている．これに関連して，SiagiらはFe_2O_3，SiO_2，MgOなどの不純物の含有量の異なる種々の石灰石を用いて消石灰を調整し，SO_2ガス吸収性能に及ぼすこれらの不純物の影響を検討した．その結果，石灰石の焼成で得られた生石灰の水和発熱による温度上昇は石灰石の化学組成によって5～65deg Cの間で変化すること，さらには水和によって高い温度上昇を示す生石灰は不純物が少なく多孔質構造を有しており，SO_2吸収にも優れることを報告している．