ゲノム情報に基づく殺虫剤開発：その展望と問題点

摘要

微生物やと卜、マウスに比べて遅れてはいるものの，昆虫のゲノム研究が現在進められている．ショウジョウバエDrosophila melanogaster,ハマダラカ Anopheles gambiae続いて，カイコでもショットガンシ一ケンスが日本と中国で行われた．ミツバチの全ゲノムシーケンスもまもなく出てくる状況である．ゲノムの研究は，幅広い内容と大きな発展性を秘めている．一部ではポストゲノム研究の時代に入りつつあり，昆虫のゲノム研究でもその成果を産業に役立たせよ．うとする動さが活発化している．ショウジョウバェでは，各種レセプターの解析やそのリガント探索などが行われている．昆虫類の遺伝子情報が自由に入手できるようになれば，それらを利用して新しい農薬開発に利用することがでさる，ここでは，ゲノム研究の現状を簡単に紹介し，農薬開発利用に関する諸問題を紹介したい．また，農薬におけるDDS（トラソグ、デリバリー、システム）技術についても考えてみたい.