前卵胞腔卵胞発育-卵子遠心シグナルと求心シグナルによる発育調節(前編)

摘要

NPO法人生殖再生医学ァカデミァ理事長腔卵胞発育は基本的にゴナドトロピン依存性であるのに対し，前卵胞腔卵胞(以下，前腔卵胞)発育はゴナドトロピン非依存性であるとの理解が一般的であった。根拠は卵胞刺激ホルモンbeta(FSH beta)/黄体化ホルモンbetaLHybeta ノックアウト（K0)動物やGnRHァンタゴニスト投与動物，そしてゴナドト口ピン欠損症であるKallmann症候群における腔卵胞発育不全などである。腔卵胞発育動態については，ゴナドト口ピンと性ステロイドを軸として卵巣内局所産生因子が加わった巧妙な機序によって調節されている全貌が90年代前半までにはほぼ明らかにされた。一方，前腔卵胞発育動態については断片的な知見に止まり，その背後にある調節原理については方法論上の限界もあってか足踏みしていた。