サブトラクションクローニングによる卵巣のゴナドトロピン誘導性遺伝子の検索

摘要

ゴナドトロピン刺激が引き金となり，卵胞の発育と分化に必要な様々な遺伝子群が誘導される.卵胞の発育と分化のメカニズムの解明には，ゴナドトロピンによって誘導される遺伝子群の解析が必要不可欠と考えられる．ここでは私共がサブトラクションクローニングで単離同定したゴナドトロピン誘導性遺伝子群とその卵巣での役割について考察したい．まず爽膜細胞でPMSGによって誘導される遺伝子群として，scavenger receptor class Bやsteroidogenic acute ragulatory protein（StAR）などステロイド合成関連遺伝子群を単離同定した.さらに遺伝子発現を直接コントロールする転写国子群として，神経細胞で早期に誘導される遺伝子として同定されていたNGFl－A．およびジンクフィンガー構造を持った新たな転写国子GlOT（Gonadotropin lnducible Ovarian Transcription tactor）を単離した．NGFITA．GIOTは共にhCG／LH刺激後早期に卵巣爽膜細胞で強く誘導される．私共はNGFI-AがLH受容体の転写を活性化する事を初めて明らかにした，NGFl－Aは下垂体でのLHβ鎖遺伝子の発現に必須と言われており，卵巣でもしH受容体の発現を強く誘導することはこの転写因子が生殖系で重要な役割を果たしていることを示唆している．