在米日系企業の過半はバイデン新政権のプラス影響に期待

摘要

米国史上最多の得票数を獲得して第46代大統領に就任したジョー·バイデン氏の率いる新政権が、内政·外交の両面で新たな基軸を次々と打ち出している。大方は選挙戦中の公約などで訴えていた政策に沿ったものだが、中でもパリ協定への素早い復帰は内外で話題になつた。コロナ対策などで前政権との違いを際立たせたいという狙いもあるようだが、では経済政策や日米関係の変化について現地の日系企業は、どのようにみているのか。ジェトロが在米の日系企業を対象にアンケート調査を行ったところ、2日間という限られた調査期間にもかかわらず633社もの企業が回答を寄せた。それによると、大統領·議会選挙の結果が与える影響では「プラスとマイナスの要素が同程度」が28.5%、次いで「全体としてブラスの影響」が24.8%だった。両者合計は53.3%で、過半の企業が何らかのプラス影響を期待している。その反面、22.0%が「分からない」と回答。現時点では影響を測りかねる企業も少なくない。プラスの影響と回答した企業は、その理由として半数が「非移民ビザに対する制限の撤廃」「通商政策における予見可能性の向上」と回答。トランプ政権が打ち出した政策の修正に対する期待が示された。また4割の企業が、バイデン政権による新型コロナ対応や環境·エネルギー関連施策に期待するとした。一方、マイナスの影響をみる企業では、8割が「法人税などの増税」を指摘。次いで「医療保険費負担増」「環境·エネルギー規制の強化でコスト增」「労働法制強化によるコスト増」など、ビジネスコスト上昇への懸念が上位を占めている。自社の経営に影響を与える分野については、法人税制の行方(61.1%)を筆頭に、新型コロナ対策、移民·ビザ政策、対中政策、環境·エネルギー規制(気候変動対策)が上位を占めた。選挙結果を踏まえて、やはり環境•エネルギーやインフラ分野で対応していくという企業が多い。