グローバル経済をゆるがす 構造変化の行方

摘要

世界経済は底堅い成長を遂げているが.米中を中心とした貿易摩擦の激化，移民増大への不満を含めた反グ口一バルの動きの強まりといった課題を抱えている。反グローバルの動きが強まる背景には世界的な所得格差拡大もある。しかし.所得格差の拡大については，グロ一バル化よりは技術革新が主因との分析が出ている。これはグローバル化についての安心材料となる一方，今後本格化し，世界経済を長期にわたって盛り上げる第四次産業革命についての不安材料ともなる。特に，AIが雇用（タスク）を奪うとの見方が強まる中では.その不安は一履大きいものがある。今後のグローバル経済をゆるがす構造変化を見据えると.これらの要因がなくなるとは思えず.現状のまま推移すれば今後の行方は必ずしも楽観視できない。厳しい八一ドルながら，世界には格差拡大を抑えながら良好な世界経済成長を実現することが求められる。そのためには，先進国と新興国がその国際取引を差別化し，自国有利な規制を見直し，再分配政策を強化することなどが必要とされる。