建築業の安全管理対策に3Hを活用

摘要

民間信用調査会社の家京商工リサーチが17年度（2018年1月17日）の建設業倒産件数（負債1,000万円以上の企業倒産）は、前年度比1.61%減の1.579件（表1）。4年連続年度ベースで減少している。業種別に倒産件数を見ると、総合工事業が764件（2.5%減）、職別工事業が498件（0.8%増）、設備工事業が317件（3.0%減）である。負债総額は13.57%減の1,535億5.690万円で、4年連続で前年を下回っている。「東日本大震災からの復興事業」「アベノミクスによる公共事業の増加」「2020年の東京五輪」という特需によって、不況に見舞われていた大手の建設事業者は活気を取り戻しつつあるからである。しかし、負債10億円以上の大型倒産が15件（前年度比1件増）にとどまつたのに対し、負債1億円未満の小規模倒産が全体の7割超を占める1,143件(0.6%減）と多い状況で、地方の建設事業者は苦しい状況に追い込まれている。倒産原因別では、受注不振(販売不振)が961件（前年度比2.5%減）と全体の6割超を占め、次いで既往のしわ寄せ（赤字累積）が351件（前年度比0.5%減）、運転資金の欠乏が90件（5.2%増）、事業上の失敗が49件（26.8%減）の順と続いている。人手不足に伴い職人の労務費は上昇と合わせて、輸送費高騰を受けたセメントなど資源価格の上昇や値上げも見込まれる。今後は工事コスト上昇の影響が懸念されると分析されている。発注者側からみると、建設コストの上昇は地方財政を圧迫して、入札価格の高騰で企業競争の激化し、入札不調による事業が頓挫する悪循環に陥ることも懸念される。社会資本の維持や不動産などの建設事業の役割が弱まり、地方の活性化の確保が課題となつている。