転機を迎えたタイのシステム投資と人材の高度化

摘要

失業率が1%を切り、労働集約型から高付加価値産業への転換を目指すタイで、日系企業のシステム投資が本格化しようとしている。システムの機能は日本より簡易なものが選ばれている。それでも事業の合理化と高度化を同時に進めるのは難しい。分業と単純作業に慣れた現地従業員には全社的な視点を持つ人材が少ないためだ。 ー方でシステム刷新を機に経営の見える化を進め、本格的な経営層の育成に入る企業も存在する。システム化によつて経営判断を下すための情報の流れが整理され、意思決定の過程を見せやすくなると、管理層から経営層の育成、企業理念の刷リ込みにつなげられる。本稿では、タイで進められているシステムデザインに焦点を当て、経営の現地化のヒントを探った。