中国における湖沼富栄養化制御およびその生態修復に関する戦略

摘要

中国の約130湖沼で実施した水質調査結果によると，その88.6％で富栄養および中栄養化していた。中国において湖沼の富栄養化は，すでに最も重要な環境問題の1つである。本稿では，中国の湖沼において，外部の汚濁負荷発生源が制御されておらず，アオコ発生の常態化および生態系破壊が引き起こされているといった現状と，点源負荷対策と面源負 荷対策との連携，外部の汚濁負荷発生源対策と内部生産・内部負荷対策の連携，汚濁負荷発生源対策と生態環境修復の連携，処理・管理対策の連携といった富栄養化対策の理念や計画を示した。さらに，湖沼の生態環境修復については，“三圏理論”とよばれる陸域生態系の修復，湖岸帯生態系の修復，および湖内生態系の修復の3方策を解説した。また，具体的な生態環境修復対策について，雲南省の河海および安徽省の巣湖での実施例を紹介した。