紫外線処理後の細胞内ミクロキスティンの挙動

摘要

Microcystis aeruginosa PCC7806株に対して紫外線を照射した後，14日間培養し，細胞数 と細胞内外のミクロキスティン濃度変化を検討した結果，細胞内のミクロキスティンが水 中へ放出される現象について知見が得られた。まず，紫外線処理で細胞数の増加が抑制さ れ，水中のミクロキスティン濃度上昇も抑制された。14日後の水中のミクロキスティン濃 度は，Control試料で65μg/lであったのに対し，紫外線照射試料では21μg/l以下であっ た。つぎに，紫外線処理によって，細胞内ミクロキスティン濃度が減少し，細胞1個当た りの水中へ放出される量も減少した。600mJ/cm~2の紫外線照射量では，24.6fg/cellの細胞 内ミクロキスティン濃度が，7.06fg/cell（低圧ランプ），7.16fg/cell（中圧ランプ）まで減少 した。紫外線処理により，M.aeruginosa PCC7806株の増殖と水中へのミクロキスティン の放出を抑制できることがわかった。