水ーエネルギ←連問と水道におけるエネルギー問題

摘要

エネルギー施設の水への依存性と，水関連施設のエネルギー依存性が明らかになるにつれて，水とエネルギーの連関（Water-Energy Nexus）に世界的な関心が集まっている。米国では，地下エネルギー資源の採取や発電施設で大量の淡水を使用している。このため，近年の渇水は，米国各地で発電所の冷却水を巡る争いを引き起こしている。世界の原油価格は，2000年以降に急激に上昇したことから，将来のエネルギー価格の急激な上昇が，上下水道事業と水の安定供給にもたらす影響が懸念される。一方，わが国の都道府県別の上下水道事業による電力使用量を解析したところ，東京都?大阪府等の大都市や，沖縄県?長崎県等の島喚部を有する都府県で，都道府県内の全電力消費量に占める上下水道による電力消費の割合が高かった。今後は，エネルギー価格の変動に対して安定した水供給を確保し，さらに上下水道事業による環境負荷を削減するためにも，エネルギー消費量の削減に取組む必要がある。