最初沈殿池汚泥の酸発酵特性に及ぼす種汚泥とHRTの影響

摘要

最初沈殿池汚泥の酸発酵特性を把握するとともに，酸発酵に及ぼす種汚泥と初沈汚泥中の在来微生物の影響を明らかにすることを目的として，完全混合型反応槽を用いた酸発酵の連続実験を行ない，段階的にHRTを変化させたときの最初沈殿池汚泥の加水分解および有機酸生成状況などに関して検討を行なった。酸発酵により発酵槽内に投入CODの約20%に相当する4.330～5,360mg/l(酢酸換算)のVFAの蓄積がみられたが，種汚泥を用いない場合には，プロピオン酸が蓄積する傾向がみられた。一方，SSおよびVSSの分解率は種汚泥を用いた場合，HRT3日の条件でそれぞれ16.4%と15.3%であったが，短いHRTおよび種汚泥を用いなかった条件では，その半分程度の低い値であった。最初沈殿池汚泥中のメタン生成細菌および加水分解細菌の存在が示唆されたが，固形物を多く含む下水汚泥の酸発酵において加水分解を促進させるには，加水分解細菌がゥォッシュアゥトせずに増殖可能なHRTを確保する必要があること，また，種汚泥を用いるなどして加水分解細菌を発酵槽内に保持する必要があること，が考えられた。