バクテロイデス遺伝子マーカーを用いた河川水中のふん便汚染源解析

摘要

本研究では，宿主特異的なバクテロイデス遺伝子マーカーを用い，河川水中のふん便汚染源の解析を試みた。下水流入水，2次処理水およびコミュニティプラント直下の河川水からはヒト特異的，ブタ飼育施設下流の河川水からはブタ特異的なバクテロイデス遺伝子マーカーが高濃度で検出された。富士川，利根川および多摩川(3地点)で採取した河川水(計119試料)からのヒト，ブタおよび反芻動物特異的なバクテロイデス遺伝子マーカーの陽性率は，それぞれ45%, 49%, 66%であった。各河川における宿主別のバクテロイデス検出度(大腸菌に対するバクテロイデスの濃度比)を算出した結果，富士川と利根川ではヒト，ブタおよび反芻動物のいずれの検出度も高く，多摩川では中下流域において検出度が上昇していた。バクテロイデス検出度と河川流域特性は一致しており，宿主特異的なバクテロイデス遺伝子マーカーを用いたふん便汚染源解析の有効性が示唆された。