諫早湾干拓調整池における淡水二枚貝イケチョウガイ(Hyriopsis schlegelii)導入による水質改善

摘要

諫早湾干拓調整池でイケチョウガイによる水質浄化が可能であるか検討するために，調整池内の10地点で同貝を水産養殖用のカゴに入れて垂下飼育し，成長と生残を調査した。4地点で良好な飼育結果が得られたことから，真珠の生産を試みたところ，一部の貝から大きさが2～10mm程度の真珠様物を得ることができた。つぎに，調整池ヨシ進出促進工内においてイケチョウガイを地播き飼育した結果，イケチョウガイは成長•生残したものの，夏期に水温上昇や波浪による殻体損傷によるストレスで斃死する個体が多くみられた。調整池におけるイケチョウガイの日間成長速度の最良値は，垂下飼育，地播き飼育ともに，同貝による真珠養殖がさかhな霞ケ浦や琵琶湖とほぼ同等であり，環境条件が整えば地播きによる大量飼育が可能であることが明らかとなった。調整池では，イケチョウガイは直接浄化対策の1つとして活用する他，啓発的，シンボル的な活用方法（たとえば淡水真珠の里親制度等）も有効と考えられる。