宮城県丸森町における冬期湛水水田(冬水田hぼ）構築のための蒸発散を考慮した渓流水の流量モデル化

摘要

町の歴史に基づき，「タンチョウの住む町」を再現することを目指し，それを地域創生のキーヮードとしている丸森町において，その手法の軸は冬期湛水水田（冬水田hぼ）である。本研究では，流量計測がなされていない渓流河川において，浮子法により流量データを収集したうえで，タンクモデルを構築した。そのさいに，Hamon式による蒸発散量を組み込hだモデルと，そうでないモデルを作成し，比較した。シミュレーションを通じて，通常年の冬期および，丸森町での観測史上最少の降雨量（年間839mm)であった1987年の冬期において，湛水水田に必要な水量が確保できるかについての結論を得るとともに，とくに蒸発散量の推定について考察した。今後の課題として，森林の保水力を科学的にとらえたうえで蒸発散量や流出量の予測を行ない，森林管理へと発展させることがある。