浄化槽と膜分離を組み合わせた雑排水の再生

摘要

雑排水の再生再利用に関して，建築物の利用用途によって水量や水質は異なるが，その 基礎デ一タは少ない。本研究では，大学研究棟において雑排水を再生再利用することを目 的に実証的な研究を行なった。具体的には，研究棟の使用水量や雑排水の発生水量および 雑排水水質，さらには浄化梢を用いた雑排水処理について，2年問にわたる長期モニタリ ングを実施した。研究棟全体の平均使用水量は0.81//m~2·dであった。雑排水原水の平均水 質としては，BODで230mg/l，T — Nで13mg/l, T-Pで1.6mg/lであったが，雑排水原水 の水質は人きくばらついていた。浄化梢を用いた雑排水の処理について，浄化槽による平 均除去率はBODで約96%，T-Nで約67%であり，MF膜による処理でさらに除去率は向 上した。処理水再利用の可能性として，浄化槽だけでは不十分な可能性があるが，さらに， MF膜で処理を行なうことで十分に再利用できる水質になることが示された。また，処理 水質に与える水温の影響について考察するとともに，主成分分析を用いて雑排水原水や処 理水の水質特性の把握を試みた。