キャッシュ·フロー計算書を用いた投資水準の分析

摘要

事業運営上の課題である大規模施設の大量更新における、建設改良費の水準を考えるため、キャッシュ·ロー計算書を用いて他都市·民間企業と比較分析を行った。独立採算を原則とする公営企業においては、減価償却費が織り込まれた料金原価により、投下資本の回収を行うことが望ましく、フリー·キャッシュ·フローが正の値となるような経営が堅実である。しかし、様々な事情から料金設定を資金ベースで行っている企業も多く、更新財源が留保されにくい構造となっていることなどから、今後、償還を上回る企業債の発行が必要な可能性がある。ただし、拡張期のような大幅な収益増が期待しにくい中においては、企業債に大きく依存することには、慎重さが求められる。従来の財務諸表に加え、新たに作成が義務付けられたキャッシュ·フロー計算書も活用し、健全な経営を維持していくことが重要である。