山地流域の流出土砂量に関する土砂タンクモデルの適用: 三重県君ヶ野ダム流域と長野県松川ダム小渋ダム両流域との比較

摘要

山地流域における流出土砂量の検討は，これが流域全体の侵食土砂量あるいは侵食速度に直接関係しているために，これまで治山砂防や地形関係の両方面より研究されてきた（奥村，1978；阿子島，1981）。特に，山地の小流域からの流出土砂量は，豪雨に伴う崩壊や土石流の発生量の多少によって大きく左右されるために，この量の見積は重要である。それと同時に，山地内の河道に堆積している土砂も豪雨に関係し，集合流動に近い形をとって運搬されることもあり，流出土砂量の主要成分となり得るものである。