インドネシア·中部カリマンタン州における熱帯泥炭地からの炭素排出量評価のためのガイドブック作成と技術移転の取組み(その1)

摘要

インドネシアは，土地利用変化からの排出を加えると，アメリカと中国に続き世界第三位の温室効果ガス排出国といわれている(World Bank，2007)。インドネシアなどに分布する泥炭地の多くが1980年代ごろから農業などの目的のために開発され，それに伴って生態系の破壊や，泥炭有機物の好気性分解，大規模な泥炭火災の発生などの問題が生じている(久馬，2016)(写真1)。このため，森林減少や泥炭地開発の抑制は，気候変動防止のための喫緊の課題となっている。熱帯泥炭には多量の炭素が蓄積されており，泥炭地は温室効果ガスの大きな排出源となっていることが指摘されているが，炭素の排出は地下水位の変動に大きな影響を受けるため，排出量の予測には不確実性がともなう。