長州の古刹「大寧寺」より長門•俵山道路

摘要

大寧寺は山口県の西北部，長門市の市街地から南に約5kmに位置する.長門湯本温泉のシンボルで，「西の高野山」とも呼ばれる応永17(1410)年に建立された曹洞宗の古刹である.平安時代より連綿として栄えた大内家当主•大内義隆公は，天文20(1551)年に突如，重臣•陶隆房の謀反により山口を追われ，大内氏の香華寺である大寧寺に逃れ，重臣とともに自刃し，寺も焼失(大寧寺の変)，大内家は31代にして断絶した.主従の墓は裏山の遊仙窟に眠る.本堂はその後，毛利家の庇護を受けて再建された.寛永17(1640)年，火災により本堂，山門などが焼失.延宝5(1677)年に益田家により山門が再建され，文政12(1829)年に衆寮を建替え，増改築によって本堂も再建された.本堂の前に立つと謀反に敗れた戦国大名の無念さを凛とした佇まいの中に感じる.