火山噴火降灰による道路交通および物流への影響

摘要

火山大国である我が国には多数の活火山が存在し，常に火山噴火被害のリスクに直面している。火山噴火による被害の中で，降下火山灰は，短期間のうちに広範囲の地表面に影響をもたらすという特徴がある。道路への降灰はネットワーク機能に障害をもたらし，地域間交通所要時間を変化させ，交通流や物流0Dパターンの変化を通じて，降灰が生じていない地域における経済活動へも影響を及ぼし得る。本稿では，こうした火山噴火降灰による間接的被害の波及を，分布·配分統合モデルの発展形であるICFMを用いて分析した研究を紹介する。富士山噴火による降灰を想定したシミュレーションでは，降灰地域の道路機能が寸断されることにより，物流経路のシフトや，迂回交通の集中による混雑効果，地域間所要時間の変化による物流パターンの変化などが示された。