基板表面へのオルトリン酸銀光触媒被膜の形成

摘要

持続可能なエネルギー利用技術や環境浄化技術の開発は，社会の継続的な発展のために重要な課題である。これに関連し注目されている分野として，光触媒の研究が盛んに行われている。代表的な無機固体の光触媒である二酸化チタンTiO_2は，その優れた光触媒作用や水分解による水素製造能などから，一般に広く用いられている。一方で，太陽光を効果的に利用するために，太陽光の43%を占める可視光を利用した光触媒の開発が検討されている。近年，オルトリン酸銀Ag_3PO_4の光触媒能が検討され，可視光照射下での水分解や有機染料の酸化の実験において高い光酸化能力を示すことが明らかとなった。リン酸銀は伝導帯の位置が低いため，水の水素転換に利用することはできないが，有機物の分解作用や，防汚作用に期待がもたれている。さらに，近年の研究より，リン酸銀を含有した材料の抗菌作用についても明らかになっている。